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血管 脂肪 核
コラーゲン 脂肪 核
in vivo イメージングでみた
脂肪組織三次元画像
心筋梗塞や脳卒中など動脈硬化性疾患の重大なリスク要因として、内蔵肥満とインスリン抵抗性を基礎とするメタボリックシンドロームが注目されています。肥満に伴い蓄積した内臓脂肪は多様なアディポサイトカインを分泌する等多彩な機能をもち、インスリン抵抗性や動脈硬化の発症に必須の役割を担っています。また、最近の研究により、心筋梗塞や脳卒中などの原因となるメタボリックシンドロームと慢性炎症病態には密接な関連があることが示唆されています。
我々は、独自に開発した「生体分子イメージング手法」を、肥満した脂肪組織に適応し、メタボリックシンドロームの病態にアプローチを行っています。我々の開発した in vivo イメージングは、従来の手法ではアプローチできなかった細胞間相互作用を生体内で直接可視化するもので、多くの研究領域において今後重要な役割を果たすと考えられます。
ここでは、我々の in vivo イメージングより明らかになった、肥満脂肪組織の再構築(リモデリング)と炎症性細胞の関与についての知見を紹介します。
我々はまず、「脂肪組織をよりよくみるために」、レーザー共焦点顕微鏡を用いて、生きたままの組織をそのまま染色する、「生組織イメージング手法」を開発しました。通常の固定した組織切片標本では、脂肪組織は白く抜けた脂質と、細胞質・核の集合体として漠然としか組織構築が捉えられませんでしたが、我々の手法では組織構築の詳細が可視化されています。本手法では脂肪組織を固定しないため、アーティファクトなしで、そのまま組織構築を可視化できます。
生体分子イメージングでみた肥満に伴う脂肪組織リモデリング
図2 炎症を起こした脂肪組織内血管の細胞動態
従来、様々な臨床・基礎研究等によって、肥満に伴って脂肪組織内で慢性炎症が起きていることが示唆されています。我々は、本イメージング手法を生体に応用し「生きた動物の体内の脂肪組織を手に取るように可視化」しています。(図2)(Nishimura, 2008 JCI, 2010 JCI, 2012 Blood, 2010 J Exp Med, 2013 Cell Met, 2014 Diabetes)。血管における、血球(白血球・赤血球・血小板)、血管内皮、マクロファージを特異的に染色し、マルチカラーでそれぞれの細胞を特異的にリアルタイム高解像度で可視化しています。その結果、肥満脂肪組織微小循環において慢性の炎症機転がおきていることを証明しました(Nishimura 2008 JCI)。