自治医科大学 分子病態研究部 - 生体分子イメージング手法を組み入れた生活習慣病(肥満・糖尿病・血栓止血領域等)を対象とした基礎研究部門

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研究内容

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脂肪組織炎症

CD8陽性T細胞の重要性 肥満病態の最も初期のトリガーは何か?

我々は、生体分子イメージング及びFACSを用いた解析から、脂肪組織の間質に多くのリンパ球が存在することを明らかにしています。T細胞サブセットの解析では、肥満に伴い、CD8陽性T細胞の増加、CD4陽性T細胞・制御性T細胞の減少が認められました(Nishimura 2009 Nat Med)。
脂肪組織局所においてはマクロファージやT細胞をはじめとする多様な細胞が相互作用し、メタボリックシンドロームの病態を形成していると考えられます。また、ヒトサンプルにおいても、肥満者の皮下脂肪組織においてCD8遺伝子が高発現となることから、CD8陽性T細胞はマウスのみならず、ヒトにおいても重要な役割を持つことが示されています。

制御性B細胞による脂肪組織炎症の調節機構
脂肪細胞

炎症を起こした脂肪組織内血管の細胞動態
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さらに、我々は脂肪組織に制御性B細胞が存在し、肥満に伴う炎症を抑制していることを明らかにしました。マルチカラーのフローサイトメトリーで解析したところ、内臓脂肪の間質の7-10%、皮下脂肪の間質の30%程度は、成熟したB細胞でした。特徴的なのは、この脂肪組織B細胞はIL-10を(無刺激でも)高発現していました。B細胞から分泌されるIL-10の役割を明らかにするために、B細胞特異的にIL-10を欠損しているキメラマウスを作成したところ、脂肪組織の炎症が増悪している他、M1マクロファージの集積、CD8陽性T細胞の活性化が認められました。さらに、全身のインスリン抵抗性も増悪しており、脂肪組織B細胞由来のIL-10が炎症過程を負に制御していることが明らかになりました。また、マウスおよびヒト脂肪B細胞は肥満により減少しており、B細胞機能の減弱が代謝性疾患の発症に重要であると考えられました。